はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

伯爵と少年 1 [伯爵と少年]

十九世紀末――ロンドン

大通りから少し中へ入った薄暗い通りに、その場所にはそぐわないブルーム型の馬車がとまっていた。
貴族所有のものだろうか、それらしい紋章はロンドンの濃い霧に覆われていて見ることが出来なかったが、
時々その場所で見かけるそれと同じものだった。

「うぅっ……あぁ、いい子だ」
男は少年の頭をなでるように触りながら、恍惚の表情を浮かべている。ぴちゃぴちゃと卑猥な音が車内に響く。男はうめきながら少年の頭を強く掴んだ。「あぁぁ、もう出そうだよ。そのまま全部飲み干したら、銀貨をもう一枚追加するよ」

少年は男を上目遣いで見上げ、目で合図した。それと同時に口内に青臭い匂いが広がる。要求通りにそれを飲み下すと、男は満足のしるしに銀貨を二枚足元に放り投げた。少年はそれを手にすると顔を上げることなく素早く馬車から降りた。

それから馬車はすぐさま大通りへ向かって走り出した。

冷たい風が頬を叩くように吹き抜ける。
少年は更に細い路地に入り込み、ちいさな体を丸めてしゃがみ込んだ。

「うっ……げほっげほっ」

細くしなやかな指をのどの奥に突っ込み、今飲んだものを出来るだけ吐こうとしている。口の中に男のむせ返るような匂いが充満している。少年はこの匂いが好きではない。もちろん男が少年の口の中に出したものも好きではない。
それでもお金のためにそうするのだ。

「アンディ!ここにいたの?探したんだよ」

少年――アンディはその声に振り返って身を起こした。
「うん。どうしたのケヴィン」アンディは暗く陰る青い瞳を友に向ける。後ろめたさからポケットにしまった銀貨を隠すようにそこに手を置いた。

ケヴィンはアンディよりひとつかふたつ年下の宿無し仲間だ。日中は別々に過ごし夜になるとこうして寝床を同じくするため合流する。

「もう大分寒くなったから一緒にくっついて寝ようよ」ケヴィンは首に巻き付けた薄汚れたマフラーを両手でぎゅっと掴んだ。一年中巻いている大切なもので、アンディが知る限りケヴィンが路上生活をする前からの唯一の持ち物だ。

「うん、じゃあ、ちょっと向こうで待ってて」
アンディはそう言うと、路地の片隅でもう一度口の中に指を差し入れた。

つづく


>>次へ

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


web拍手 by FC2

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。