はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
裏・花嫁の秘密 2-2 [裏・花嫁の秘密]
サミーはズキズキとした痛みに目を覚ました。
左腕が熱い。
暫くぼうっと窓際のカーテンに取り付けられた房飾りを眺める。それから視線を天井へ向け、痛みの原因を思い出そうとする。
深い眠りから覚めたばかりの頭は、相当働きが悪かった。おおよそ五分ほどして、やっと痛みの原因を思い出す。
そうか、僕は撃たれたんだった。
サミーはまた目を閉じ、呼吸と気持ちを整えた。
いつもは呼び鈴で使用人を呼びつける事はしなかったが、いまはすぐにでも呼ぶ必要があった。
だが、僕の世話をしてくれる者がいただろうか?僕の事を気に掛けてくれる人物など一人もいない。
不意に溢れ出ようとする涙を歯を食いしばり堪えた。
目を瞑り、おでこに右腕をのせる。突如暗闇にエリックの顔が浮かんだ。
サミーはカッと目を見開き、急いで呼び鈴に手を伸ばした。
すぐさまダグラスが部屋へ入って来た。
外で待ち構えていたのか。結局ダグラスも僕を見捨てたりしないということなんだろうな。それとも、ただ見張っていたのだろうか。
サミーは身体を起こした。ダグラスが素早くサミーの背に枕をちょうどよく整える。それにもたれかかると、ダグラスに指示を出す。
「アップル・ゲートのラウンズベリー邸に使いを出してくれ。クリスに手紙を渡してほしい。それと――ミスター・キャノンを呼んでくれ」
ダグラスは何も身につけていないサミーの身体を見ないように努めていた。腰から下は上掛けに隠れているものの、サミーがこうして裸を誰かに晒すという事は今までになかった事だ。
だが、どうしても腕の包帯には目がいってしまい、ダグラスはつい余計な事を口にする。
「腕の怪我は、ミスター・キャノンに診れるものですか?」
キャノンはこの村に住む、獣医だ。
「そんなことはお前には関係のない事だ」
「失礼いたしました」
ダグラスは音もたてず部屋を出ていくと、しばらくして必要なものを持って戻ってきた。
サミーは暫く便箋の前で悩んだ後、必要な事を簡潔に書いて、侯爵家の紋章入りの封筒に手紙を入れベッドサイドの銀トレーに置いた。
ダグラスはまるですべてを覗き見ているのではないかと思うほど、絶妙なタイミングでやってきた。
トレーを片手に部屋を出ようとするダグラスに問いかける。
「キャノンはすぐにこれそう?」サミーはまたカーテンの房飾りをぼんやりと見つめている。
「はい」
「何か言ってた?」
「いいえ、特には」
「言ってたんだね。またいいところを邪魔しちゃったかな」
最後の一言は聞こえないふりをしてダグラスは仕事に戻った。
つづく
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左腕が熱い。
暫くぼうっと窓際のカーテンに取り付けられた房飾りを眺める。それから視線を天井へ向け、痛みの原因を思い出そうとする。
深い眠りから覚めたばかりの頭は、相当働きが悪かった。おおよそ五分ほどして、やっと痛みの原因を思い出す。
そうか、僕は撃たれたんだった。
サミーはまた目を閉じ、呼吸と気持ちを整えた。
いつもは呼び鈴で使用人を呼びつける事はしなかったが、いまはすぐにでも呼ぶ必要があった。
だが、僕の世話をしてくれる者がいただろうか?僕の事を気に掛けてくれる人物など一人もいない。
不意に溢れ出ようとする涙を歯を食いしばり堪えた。
目を瞑り、おでこに右腕をのせる。突如暗闇にエリックの顔が浮かんだ。
サミーはカッと目を見開き、急いで呼び鈴に手を伸ばした。
すぐさまダグラスが部屋へ入って来た。
外で待ち構えていたのか。結局ダグラスも僕を見捨てたりしないということなんだろうな。それとも、ただ見張っていたのだろうか。
サミーは身体を起こした。ダグラスが素早くサミーの背に枕をちょうどよく整える。それにもたれかかると、ダグラスに指示を出す。
「アップル・ゲートのラウンズベリー邸に使いを出してくれ。クリスに手紙を渡してほしい。それと――ミスター・キャノンを呼んでくれ」
ダグラスは何も身につけていないサミーの身体を見ないように努めていた。腰から下は上掛けに隠れているものの、サミーがこうして裸を誰かに晒すという事は今までになかった事だ。
だが、どうしても腕の包帯には目がいってしまい、ダグラスはつい余計な事を口にする。
「腕の怪我は、ミスター・キャノンに診れるものですか?」
キャノンはこの村に住む、獣医だ。
「そんなことはお前には関係のない事だ」
「失礼いたしました」
ダグラスは音もたてず部屋を出ていくと、しばらくして必要なものを持って戻ってきた。
サミーは暫く便箋の前で悩んだ後、必要な事を簡潔に書いて、侯爵家の紋章入りの封筒に手紙を入れベッドサイドの銀トレーに置いた。
ダグラスはまるですべてを覗き見ているのではないかと思うほど、絶妙なタイミングでやってきた。
トレーを片手に部屋を出ようとするダグラスに問いかける。
「キャノンはすぐにこれそう?」サミーはまたカーテンの房飾りをぼんやりと見つめている。
「はい」
「何か言ってた?」
「いいえ、特には」
「言ってたんだね。またいいところを邪魔しちゃったかな」
最後の一言は聞こえないふりをしてダグラスは仕事に戻った。
つづく
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2011-09-10 00:16
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