はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

裏・花嫁の秘密 2-1 [裏・花嫁の秘密]

玄関前に馬車が停車した。従者によりステップがおろされ、サミーは数カ月ぶりにフェルリッジの屋敷へ戻った。

馬車はそのまま進みだし、緩やかに方向を変えながら石畳の道を門へと向かう。サミーはそれに目もくれず、玄関先で出迎えたダグラスを一瞥する。

ダグラスは無表情を装っているが、見慣れぬ馬車とそれから下りてきたのが主ではなくサミーだった事に戸惑っているようだ。

「君はいつもそうなんだね」
玄関ホールに入り上着を脱ぎ捨てる。ダグラスが慌てて拾い上げ、次の言葉を待つ。

サミーは仕方がないというようにため息をつき、ダグラスに向き直る。

「クリスは当分帰ってこないよ。おそらく知らせが来ると思うけど、溜まっている執務を僕が代りにこなすから、そのサポートをよろしく」
くるりと背を向け、中央の階段を上がる。そして何か思い出したようにもう一度振り返り「事故の事は聞いているね。ここの連中はみんな知っているの?」と問いかけた。

「はい、サミュエル様」

「誰も口外しないように、きちんと口止めしたの?」

「もちろんでございます」

そう言ったダグラスに、サミーは疑いの目を向ける。

ここの使用人が口が堅い事は知っている。ここだけじゃなく、リード家に仕える者すべてだ。だが、誰かが僕の秘密をエリックに漏らした。

直接なのか間接なのか分からないが、確実にエリックはリード家の秘密を知っている。本来ならサミーがこの家の当主であることも、幼いころから父に虐待されていた事も、そして、そのころ唯一のよりどころだったマーカスのことも、すべて知っているのだ。

確かに、背の傷跡に触れた時エリックは驚いていた。だが、それは知っていたからこその驚きだったとサミーは思った。

いったいあの男は何者なのだ。

サミーは思考をもとに戻し、目の前のダグラスに微笑みかけた。それはまるで氷細工の彫像のような冷酷な笑みだった。

「そう。もしも少しでも余計な噂話をする者がいたら、即刻クビにして。紹介状は持たせないつもりだから。頼んだよダグラス」

執事の唖然とした表情を尻目にサミーは階段をあがっていった。

つづく


前へ<< >>次へ


よろしければこちらをぽちっとお願いします。
  ↓
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


web拍手 by FC2


nice!(0) 

nice! 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。