はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
裏・花嫁の秘密 1-7 [裏・花嫁の秘密]
「二度目はないからな。それに憐みなんて欲しくない」
行為が終わった途端、サミーはいつもの調子に戻って言った。
たっぷりと汗をかき、酔いも醒めてきたのか。本当に可愛くない奴だ。いままで俺に刺し貫かれ、ベッドの上で甘く乱れていたとは思えない。だが、これがサミーだと、半分諦め、エリックも元に戻り言葉を返す。
「憐みだと?」
「僕を哀れに思ったんだろう。醜い傷を背負い、愛する人に目もむけて貰えない僕を――」
サミーはベッドの下に手を伸ばし、くしゃくしゃになったガウンを拾おうとする。ほんの少し届かず、諦めてシーツを絡め丸まった。
「お前の事を哀れに思うだと?お前のような奴を哀れに思ったりするものか。俺がお前を抱いたのは、ただの欲望だ」
易々とアンジェラの事を愛する人と言ったサミーにエリックは苛ついた。それはサミーに苛つくというよりも、そのサミーの心を捉え離さないアンジェラに嫉妬する自分にだった。
まさか、溺愛する弟に嫉妬する日が来るとは全く思いもしなかった。
「なら、君は欲を満たしたわけだ」
サミーはいつもの腹立たしいくらい取り澄ました顔でエリックを見据える。まったくエリックの苛立ちには気付いていない。
「そういう事になるな」
エリックも同じように見返した。
「なら、僕の頼みを一つ聞いてくれないか?」
「なんだ?」
わざとらしく片眉をあげ、なんでも言ってみろとばかりに返事をする。
「僕は僕のうちへ帰るよ。ここにいることをアンジェラに知られたくない。あの子に会ってしまえば、僕は言ってしまう。君を助けたのは僕だってね。あの子は僕の事など見てくれなかった。いつもその目に映るのはクリスなんだ」
サミーは今にも泣きだしそうに顔を歪め、さらに身体を丸めた。
「お前の目にもハニーしか映ってないんだろう?」
そっと指先で頬に触れる。返事は聞きたくないのに、何かを期待してつい訊いてしまった。
サミーはなにも答えなかった。
エリックはほっとして、「わかった。すぐに準備しよう」と身を起こした。
「君も行くのか?」
エリックはベッドから下り振り返り言う。引き締まった裸体が汗で光り、しっとりと濡れた長髪が背を中ほどまで隠している。
「フェルリッジだろう?すぐそこだ。送っていく」
「すぐそこなものか!」
エリックはサミーの言葉を無視してバスルームへ続く扉に手を掛けた。
「シャワーを浴びる。さっさと来い」
「さっきはシャワーはダメだと言った」
「腕は俺が庇ってやる」
エリックがバスルームへ入った。
「もう身体はやらないからな」
そう言いながらもサミーは、素直にエリックの待つバスルームへ向かった。
つづく
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行為が終わった途端、サミーはいつもの調子に戻って言った。
たっぷりと汗をかき、酔いも醒めてきたのか。本当に可愛くない奴だ。いままで俺に刺し貫かれ、ベッドの上で甘く乱れていたとは思えない。だが、これがサミーだと、半分諦め、エリックも元に戻り言葉を返す。
「憐みだと?」
「僕を哀れに思ったんだろう。醜い傷を背負い、愛する人に目もむけて貰えない僕を――」
サミーはベッドの下に手を伸ばし、くしゃくしゃになったガウンを拾おうとする。ほんの少し届かず、諦めてシーツを絡め丸まった。
「お前の事を哀れに思うだと?お前のような奴を哀れに思ったりするものか。俺がお前を抱いたのは、ただの欲望だ」
易々とアンジェラの事を愛する人と言ったサミーにエリックは苛ついた。それはサミーに苛つくというよりも、そのサミーの心を捉え離さないアンジェラに嫉妬する自分にだった。
まさか、溺愛する弟に嫉妬する日が来るとは全く思いもしなかった。
「なら、君は欲を満たしたわけだ」
サミーはいつもの腹立たしいくらい取り澄ました顔でエリックを見据える。まったくエリックの苛立ちには気付いていない。
「そういう事になるな」
エリックも同じように見返した。
「なら、僕の頼みを一つ聞いてくれないか?」
「なんだ?」
わざとらしく片眉をあげ、なんでも言ってみろとばかりに返事をする。
「僕は僕のうちへ帰るよ。ここにいることをアンジェラに知られたくない。あの子に会ってしまえば、僕は言ってしまう。君を助けたのは僕だってね。あの子は僕の事など見てくれなかった。いつもその目に映るのはクリスなんだ」
サミーは今にも泣きだしそうに顔を歪め、さらに身体を丸めた。
「お前の目にもハニーしか映ってないんだろう?」
そっと指先で頬に触れる。返事は聞きたくないのに、何かを期待してつい訊いてしまった。
サミーはなにも答えなかった。
エリックはほっとして、「わかった。すぐに準備しよう」と身を起こした。
「君も行くのか?」
エリックはベッドから下り振り返り言う。引き締まった裸体が汗で光り、しっとりと濡れた長髪が背を中ほどまで隠している。
「フェルリッジだろう?すぐそこだ。送っていく」
「すぐそこなものか!」
エリックはサミーの言葉を無視してバスルームへ続く扉に手を掛けた。
「シャワーを浴びる。さっさと来い」
「さっきはシャワーはダメだと言った」
「腕は俺が庇ってやる」
エリックがバスルームへ入った。
「もう身体はやらないからな」
そう言いながらもサミーは、素直にエリックの待つバスルームへ向かった。
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2011-09-07 00:03
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