はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナおうちに帰る 8 [ヒナおうちに帰る]

美味しいおやつと楽しいお喋りとでお腹いっぱいになったヒナは、ジャスティンの膝を借りてうたた寝をしていた。お喋りの相手を失ったパーシヴァルは、ジェームズを追ってクラブに行ってしまい、ジャスティンは一人取り残された。

もちろん膝にはヒナがいるが、身動きが取れないので、テーブルの上のカップにさえ手が伸ばせない。というわけで、ヒナを触るしかない。

ジャスティンはヒナの頬を親指の腹でそっとさすった。ウェストクロウからの帰り道、何度もこうやってヒナの寝顔を眺めた。当初は長期滞在を覚悟していたが、結果としてはひと月足らずで戻ってこられた。

様々な要因があるが、そもそも出だしがよかったのだ。ダンが屋敷に上手く潜り込んだおかげで、すべてが順調に運んだ。パーシヴァルは一番活躍したのは自分だと豪語していたが、あいつは面倒を増やしただけだ。

だが、まあ、ジェームズと離れてまでヒナを助けにやってきたのは、褒めてやるべきだろう。

「旦那様、お客様が到着いたしました。こちらにご案内しますか?」ホームズがヒナが喜びそうな知らせを持ってきた。眠っているヒナを起こさないように、囁き声で告げる。

「ああ、そうしてくれ。お茶も頼む」ジャスティンが答えると、ホームズは音もたてずに消えた。

いつも思うが、ホームズはいったいどんな靴を履いているのだろうか。

少しの間があり、戸口にカイルが顔を覗かせた。おっかなびっくり中の様子を伺う様は、巣穴を間違えた野兎のようだ。

「ヒナ、カイルが来たぞ」ヒナの耳元で告げる。「カイル、こっちに来なさい。どこでも好きなところに座っていいが、そこの悪趣味なソファには絶対に座らないように」

「お、お邪魔します。ウォーターさんち、すごいんですね。僕、びっくりしちゃって」カイルはおずおずと歩を進め、赤いびらびらしたソファを避けて、肘掛けのない椅子にちょこんと座った。

「あれ、カイル……?ヒナ、すごい寝てた?」ヒナはむくりと起き上がって、ジャスティンに寄り掛かったままふわりと欠伸をする。

「いいや、少しだけだ」ジャスティンは笑いながら言い、ヒナのくしゃくしゃの髪に指を通した。

カイルはどぎまぎしながらその様子を眺め、お茶が有能な執事の手により運び込まれてきたときには、あからさまにほっとした溜息を吐いた。

「あ、シモンのパンだ」ヒナが羨ましげな声を上げる。

カイルは本物のシモンのパンを目の前にして、興奮しきり。叔父宅でそれなりのもてなしを受けたが、これは別腹。

「ヒナはもうじゅうぶん食べただろう?晩餐が入らなくなるから、我慢しなさい」

「はぁぁぃ」ヒナは不満たっぷりに返事をし、ジャスティンの腕に絡みついた。「朝まで我慢するもん」

お客様がいるおかげで、ヒナは珍しく聞き分けがよかった。

つづく


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