はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 番外編 結婚へのカウントダウン 4 [花嫁の秘密 番外編]

「お嬢様、今日は侯爵様がいらっしゃってましたが――お断りしたのですか?」

あれ以来初めてマーサがこの事を口にした。

「いいえ、出来なかったの。どちらかといえば、結婚話が進んだといってもいいわ……」
きっとマーサに責められる、そう思っていたら、マーサが意外な事を口にした。

「もう、このまま結婚してしまえばいいのです」
アンジェラは驚き、テーブルの脇に立つマーサを見た。

「どうしたのマーサ?そんなこと、出来ないわ」

「出来ないのに、お断りしないのはなぜですか?」
マーサの表情がいつもより堅い。
アンジェラにはマーサが今怒っているのか、それとも別の感情なのかが分からなかった。
答えられないアンジェラの代わりにマーサが言葉にする。

「侯爵様がお好きなのですよね。もう、ここまで来たら到底後戻りはできませんよ。秘密のまま結婚するしかありません。侯爵様は全く気付きもせず、あんなにも熱烈に結婚したがっているのですから、応えるしかないです」

「そうだけど……」
アンジェラはそれ以上言葉が出ない。

「秘密が明らかになった時は、その時で対処することにしましょう。それとも、ソフィア様にすべてを打ち明けて、結婚できないと言いますか?」
マーサは厳しい口調で続ける。
「わたしはアンジェラ様に幸せになっていただきたいのです。ただそれだけです」

そう言ってマーサはアンジェラに歩み寄り、優しく抱きしめた。
まるで母親の様な温もりをアンジェラは感じた。

わたしは幸せだわ。
父親がいない代わりに、母親が二人もいる。

アンジェラの瞳から自然と涙が零れた。
マーサをぎゅっと抱きかえし、「マーサ、好きよ」と囁いた。

その時から、結婚まで一気に突き進むことになった。
マーサが町へよく出かけていたのは、アンジェラの嫁入り衣裳の為だったのだ。
嫁入り衣装の準備が整い次第、日取りを決めることになる。
アンジェラの衣裳のすべてはマーサに任されているのだ。
仕立て屋に注文し、その後マーサが手を加える。数十着にも上るそれらを間に合うように揃えなければならない。
もちろんウエディングドレスも例外ではない。マーサはドレスの素材や、飾りに使うパーツなどの下調べをしていたのだ。

こうして、アンジェラの結婚を後押しする者が一人増えたのだ。

母ソフィア、マーサ――そう言えばもう一人、兄のエリック。
そして、なぜだかセシルも恐る恐るだが応援するようになっていた。
ただ、ロジャーだけは猛烈に反対していた。けれど、シーズン中は忙しくしていたため、気付けばアンジェラとともに教会へ向かう馬車に乗っていることになる。

第二部へ続く



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