はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
妄想と暴走 1 [妄想と暴走]
「行ってしまったね」
パーシヴァルはヒナとジャスティンの乗った馬車が通りの角を曲がると、振っていた手を静かにおろした。ヒナは祖父の招待を受け、両親の眠る土地へと旅立った。意気揚々としていたのはヒナだけで、ジャスティンはまるで自分が墓の中へ入るかのような陰気な顔をしていた。
「なんですか、あなたまで。二度とヒナが戻ってこないような口ぶりですね」ポーチに立つジェームズは、通りに佇むパーシヴァルにやれやれといった調子で声を掛けた。
「いやいや。もちろんそんなことは思っていないさ。確かにウェストクロウまで二日ほど掛かるけど、それでも一週間かそこいらで帰ってくるさ」
パーシヴァルは石段をのぼりジェームズと同じ場所に立つと、もう一度曲がり角に目をやり邸内へと戻った。
「普通ならそう思ってもいいでしょう。けど、ラドフォード伯爵の出した不可解な条件はどう説明する?許可がなければ帰宅も許されないなんて。帰りは送ってくれるのか?それとも門の外に放り出して終わりなのか?」
心配しているのか?ジェームズがヒナを?そんなことがありえるだろうか……。
ジェームズはただ、ヒナについてウェストクロウに旅立ってしまったジャスティンの帰りを待ちわびているだけなのでは?
だとしたら、これほど腹の立つ事はない。
これまで幾度となく思わせぶりな態度でキスやらなんやら――ほとんどキスだけだけど――しておいて、まだジャスティンを想うのか?
「いざとなったら僕が迎えに行くさ。ところでジェームズ。僕はパートナーにしてもらえるのか?」ぐっと身体を寄せて、至近距離から目を見て尋ねる。朝食後仕事の話があると言ったのはジェームズだ。わざわざそう言うからには、僕がもれなくパートナーになるのは間違いない。はずだ……。
「そうしろというジャスティンの命令だからね。君がどのくらい出資するかにもよるけど」ジェームズはふいと目を逸らした。
またジャスティン!
「改装費はすべて出すと約束した」憤慨して言う。
「今回の改装費がどのくらい掛かったのか、あなた、知っているのですか?絨毯や壁紙の張替え、調度品もいくつか新調しましたし、従業員に特別手当も支給しました」
「金なんか望むだけ差し出すさ!」ったく。なんて憎らしい男だ。「そっちだって、僕から金を引き出す努力くらいしたらどうだ?」
「というと?」
鋭い一瞥がパーシヴァルに突き刺さる。心なしかジェームズが本気で怒っているように見えた。
「ちょっと言ってみただけだ……」囁くように言い返し、ジェームズの腕を取った。「書斎はいやだ。図書室に行こう」
せっかくジェームズと二人きりなのに、いくら仕事の話とはいえ書斎などという堅苦しい場所はごめんだ。それに、あそこはジャスティンの匂いが染みついている。見張られているようで落ち着かないうえ、仕事以外の何かが出来そうな気がしない。
図書室には、ヒナお気に入りのふっかふかの大きなソファがある。ふっくらとしたピンクのクッションは背中に敷いて事をいたすのにちょうどいい。いや、胸に抱いて背後から……という手もある。
でも、汚したらヒナに怒られちゃうかな。ああ見えてヒナは怒ると恐いし、泣くと最強だし、かわいいもの大好きだし。
「調子に乗らないで下さい」
耳にジェームズの冷たい声が直接響き、考えに耽るパーシヴァルの手は素っ気なく払いのけられた。あまりの仕打ちに愕然とする。
キスはおろか密着する事すら叶わないとは、目的を達するには相当な努力と辛抱が必要なようだ。
つづく
>>次へ
あとがき
こんばんは、やぴです。
パーシーとジャムのお話。
というか、恋するパーシーのお話?
邪魔なヒナとジャスティンがいないので、いまのうちに……と考えているパーシーです。
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パーシヴァルはヒナとジャスティンの乗った馬車が通りの角を曲がると、振っていた手を静かにおろした。ヒナは祖父の招待を受け、両親の眠る土地へと旅立った。意気揚々としていたのはヒナだけで、ジャスティンはまるで自分が墓の中へ入るかのような陰気な顔をしていた。
「なんですか、あなたまで。二度とヒナが戻ってこないような口ぶりですね」ポーチに立つジェームズは、通りに佇むパーシヴァルにやれやれといった調子で声を掛けた。
「いやいや。もちろんそんなことは思っていないさ。確かにウェストクロウまで二日ほど掛かるけど、それでも一週間かそこいらで帰ってくるさ」
パーシヴァルは石段をのぼりジェームズと同じ場所に立つと、もう一度曲がり角に目をやり邸内へと戻った。
「普通ならそう思ってもいいでしょう。けど、ラドフォード伯爵の出した不可解な条件はどう説明する?許可がなければ帰宅も許されないなんて。帰りは送ってくれるのか?それとも門の外に放り出して終わりなのか?」
心配しているのか?ジェームズがヒナを?そんなことがありえるだろうか……。
ジェームズはただ、ヒナについてウェストクロウに旅立ってしまったジャスティンの帰りを待ちわびているだけなのでは?
だとしたら、これほど腹の立つ事はない。
これまで幾度となく思わせぶりな態度でキスやらなんやら――ほとんどキスだけだけど――しておいて、まだジャスティンを想うのか?
「いざとなったら僕が迎えに行くさ。ところでジェームズ。僕はパートナーにしてもらえるのか?」ぐっと身体を寄せて、至近距離から目を見て尋ねる。朝食後仕事の話があると言ったのはジェームズだ。わざわざそう言うからには、僕がもれなくパートナーになるのは間違いない。はずだ……。
「そうしろというジャスティンの命令だからね。君がどのくらい出資するかにもよるけど」ジェームズはふいと目を逸らした。
またジャスティン!
「改装費はすべて出すと約束した」憤慨して言う。
「今回の改装費がどのくらい掛かったのか、あなた、知っているのですか?絨毯や壁紙の張替え、調度品もいくつか新調しましたし、従業員に特別手当も支給しました」
「金なんか望むだけ差し出すさ!」ったく。なんて憎らしい男だ。「そっちだって、僕から金を引き出す努力くらいしたらどうだ?」
「というと?」
鋭い一瞥がパーシヴァルに突き刺さる。心なしかジェームズが本気で怒っているように見えた。
「ちょっと言ってみただけだ……」囁くように言い返し、ジェームズの腕を取った。「書斎はいやだ。図書室に行こう」
せっかくジェームズと二人きりなのに、いくら仕事の話とはいえ書斎などという堅苦しい場所はごめんだ。それに、あそこはジャスティンの匂いが染みついている。見張られているようで落ち着かないうえ、仕事以外の何かが出来そうな気がしない。
図書室には、ヒナお気に入りのふっかふかの大きなソファがある。ふっくらとしたピンクのクッションは背中に敷いて事をいたすのにちょうどいい。いや、胸に抱いて背後から……という手もある。
でも、汚したらヒナに怒られちゃうかな。ああ見えてヒナは怒ると恐いし、泣くと最強だし、かわいいもの大好きだし。
「調子に乗らないで下さい」
耳にジェームズの冷たい声が直接響き、考えに耽るパーシヴァルの手は素っ気なく払いのけられた。あまりの仕打ちに愕然とする。
キスはおろか密着する事すら叶わないとは、目的を達するには相当な努力と辛抱が必要なようだ。
つづく
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あとがき
こんばんは、やぴです。
パーシーとジャムのお話。
というか、恋するパーシーのお話?
邪魔なヒナとジャスティンがいないので、いまのうちに……と考えているパーシーです。
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2014-04-08 00:09
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