はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 番外編 結婚へのカウントダウン 1 [花嫁の秘密 番外編]
花嫁の秘密 番外編
婚約から結婚までの一コマ
*****
「それで、断ったのか?」
これで何度目だろうか?兄のロジャーがアンジェラに幾度となく言った言葉だ。
「まだ……侯爵様は領地の方に行ってらっしゃるから」
「ここからそんなに遠くないだろう?」
「でも、どんな理由で断ればいいのか分からなくて…」
「そうだよねぇ……男だから結婚できませんとは言えないし、下手すると訴えられちゃう可能性だってあるしね」
セシルが口を挟んだ。
「ここまで来た以上、侯爵だけには秘密を打ち明けるしかない。まだ幸い誰も婚約の事を知らないし、口止め料も兼ねて、慰謝料をたっぷりと支払うしかないだろう」
そう言って、ロジャーはふうっと大きく息を吐いた。
「でも、弁護士は知っているよ」
セシルが鋭い指摘をする。
「ああ、そうだったな。お互いの弁護士は知っているが、これは何とか抑えられるだろう」
ロジャーはうんざりとした顔つきで、言葉を続ける。
「それはそうと、エリックは来ていないのか?」
「リックなら、一度来たけど、もう帰って行ったよ。――結婚式楽しみにしているって言って……」
セシルもエリックの言葉にはさすがに同意しかねるといった感じで答えた。
「あのやろう……」
ロジャーが悪態をつくのは珍しい。
「で、マーサはなんて?」
アンジェラに向かってロジャーが訊いた。
「それが変なの。報告して以来、この事については何も言ってくれないの……たぶん相当怒っているんだと思う」
アンジェラはマーサの吊り上った眉、困惑し歪んでいく表情を思い出し、切なくなった。
「マーサがそんな風になるのは初めてじゃない?」
セシルがアンジェラの心に更に杭を打ち込む。
「そうなの、避けられている気がして……先日もマーサ一人で町まで出かけて、一日一人ぽっちだったの」
「一人ぽっちというか、一人で母様の相手をしていたのだろう?今の母様は手が付けられないからな」
ロジャーのその言葉に、婚約破棄という問題の一番の問題を思い出した。
「母様にはなんて言うの?」
セシルが問う。
「それが難題だな」
ロジャーは顔を顰め、アンジェラを見た。
「わたしだって、どうしたらいいか……」
「あっ、そうだ!僕いい事思いついた。兄さまがどこかの令嬢と結婚すればいいんじゃない?そしたら母様だって、そっちに気がいくし」
セシルの思わぬ名案にアンジェラはロジャーを見る。
「悪いが、結婚する気は今の所ない」
ロジャーは冷たく言い放つ。
そう言えば、ロジャーの恋人って貴族の人じゃなかったんだ。
色々大変なんだろうなぁ……とアンジェラとセシルは同じことを思っていた。
「とにかく母様は後回しにして、まずは上手く断ることが先決だよ」
セシルが冷たくなった空気を何とかしようと、出来るだけ明るく言う。
「そうねぇ」とアンジェラが口にしたところで、マーサが三人のいる部屋へ慌ただしい様子でやって来た。
「お嬢様!大変です!」
マーサはあたふたとしながら、新聞を手に駆け寄る。
あっけにとられる三人の前に新聞が広げられる。
そして目にした記事に全員が凍りついた。
つづく
>>次へ
あとがき
こんばんは、やぴです。
第二部の前に番外編ですが、婚約後どうしてこうなっちゃった?的な話を書いています。
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婚約から結婚までの一コマ
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「それで、断ったのか?」
これで何度目だろうか?兄のロジャーがアンジェラに幾度となく言った言葉だ。
「まだ……侯爵様は領地の方に行ってらっしゃるから」
「ここからそんなに遠くないだろう?」
「でも、どんな理由で断ればいいのか分からなくて…」
「そうだよねぇ……男だから結婚できませんとは言えないし、下手すると訴えられちゃう可能性だってあるしね」
セシルが口を挟んだ。
「ここまで来た以上、侯爵だけには秘密を打ち明けるしかない。まだ幸い誰も婚約の事を知らないし、口止め料も兼ねて、慰謝料をたっぷりと支払うしかないだろう」
そう言って、ロジャーはふうっと大きく息を吐いた。
「でも、弁護士は知っているよ」
セシルが鋭い指摘をする。
「ああ、そうだったな。お互いの弁護士は知っているが、これは何とか抑えられるだろう」
ロジャーはうんざりとした顔つきで、言葉を続ける。
「それはそうと、エリックは来ていないのか?」
「リックなら、一度来たけど、もう帰って行ったよ。――結婚式楽しみにしているって言って……」
セシルもエリックの言葉にはさすがに同意しかねるといった感じで答えた。
「あのやろう……」
ロジャーが悪態をつくのは珍しい。
「で、マーサはなんて?」
アンジェラに向かってロジャーが訊いた。
「それが変なの。報告して以来、この事については何も言ってくれないの……たぶん相当怒っているんだと思う」
アンジェラはマーサの吊り上った眉、困惑し歪んでいく表情を思い出し、切なくなった。
「マーサがそんな風になるのは初めてじゃない?」
セシルがアンジェラの心に更に杭を打ち込む。
「そうなの、避けられている気がして……先日もマーサ一人で町まで出かけて、一日一人ぽっちだったの」
「一人ぽっちというか、一人で母様の相手をしていたのだろう?今の母様は手が付けられないからな」
ロジャーのその言葉に、婚約破棄という問題の一番の問題を思い出した。
「母様にはなんて言うの?」
セシルが問う。
「それが難題だな」
ロジャーは顔を顰め、アンジェラを見た。
「わたしだって、どうしたらいいか……」
「あっ、そうだ!僕いい事思いついた。兄さまがどこかの令嬢と結婚すればいいんじゃない?そしたら母様だって、そっちに気がいくし」
セシルの思わぬ名案にアンジェラはロジャーを見る。
「悪いが、結婚する気は今の所ない」
ロジャーは冷たく言い放つ。
そう言えば、ロジャーの恋人って貴族の人じゃなかったんだ。
色々大変なんだろうなぁ……とアンジェラとセシルは同じことを思っていた。
「とにかく母様は後回しにして、まずは上手く断ることが先決だよ」
セシルが冷たくなった空気を何とかしようと、出来るだけ明るく言う。
「そうねぇ」とアンジェラが口にしたところで、マーサが三人のいる部屋へ慌ただしい様子でやって来た。
「お嬢様!大変です!」
マーサはあたふたとしながら、新聞を手に駆け寄る。
あっけにとられる三人の前に新聞が広げられる。
そして目にした記事に全員が凍りついた。
つづく
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あとがき
こんばんは、やぴです。
第二部の前に番外編ですが、婚約後どうしてこうなっちゃった?的な話を書いています。
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2011-01-26 00:00
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