はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 10 [花嫁の秘密]

ソフィアの病気はセシルの言うとおり大げさなものではなかった。
やはり、アンジェラに対する侯爵の求婚で興奮し過ぎた事が原因らしい。

すっかり元気になったソフィアは、侯爵様のお見舞いのおかげだわと、うっとりとした視線をアンジェラに投げかけるのだ。

見舞いと称して訪問した侯爵を邸内に招き入れるとは予想もしていなかったアンジェラは、母を甘く見ていたとうっとりとした視線に絡め取られないように目を逸らした。

一体は母その時どんな話をしたのだろうか?
侯爵が先日アンジェラに求婚した事を言ってしまったのではないかと、気が気でなかった。しかし、それなら母は真っ先にそのことを口にするはずだ。
にこにこして上機嫌の母は珍しく焦らすようにどんな話をしたのか教えてくれなかった。

翌日朝食の席で、その上機嫌の理由をやっと教えてくれた。
それはロンドンの侯爵邸へ招かれたというものだった。

「ほんと、侯爵様は本気なのよアンジェラ。体調が良くなったら連絡くださいって。お迎えが来るのですってよ。きっと豪華な馬車がやって来るに違いないわ」

またしてもうっとりとするソフィアにアンジェラは何も言わなかった。
このままでは、結婚は避けられないし、侯爵邸へ行くなどとんでもない。
そうなる前に――侯爵邸へ行く前に、侯爵と話を付けなければ、そう思った。

アンジェラは部屋に戻ると早速マーサに相談した。
「マーサ、わたし侯爵様に会うわ。こうなったら失礼を承知で、断るしかないわ――だって、お母様には言えないもの……わたしが実は男の子だなんて。そしたらきっとお母様はショックで死んでしまうわ、ねえ、そうでしょ、マーサ」

「ええ、お嬢様。奥様にはとてもじゃないけど言えません……それに倒れられた後なら尚更です。でも、あの侯爵に会うなど――」
マーサは先日の出来事を思い出し身震いをした。
「でも、あんなに失礼な事をしたのですから、断られたとしても文句は言えないはずです」
そう言ってアンジェラの手をぎゅっと握った。

「そうよね、あんなこと……紳士のする事ではないのでしょ?」
アンジェラは自分が持っている知識を確認するように問う。

「そうですよ。殿方はこちらから挨拶をするまでは、声を掛けてはいけないのですよ。それなのに待ち伏せまでして、更には追い回すなど――紳士どころか、ならず者ですよ」
口元を震わせ吐き捨てるように言ったマーサは、怒りで頬が赤く染まっていた。

アンジェラは何とかマーサを落ち着かせると、侯爵と面会できるようどうにかして欲しいとマーサにお願いした。
マーサは渋々だったが、侯爵との約束を取り付けてくれる事になり、アンジェラは侯爵あてに手紙をしたためた。

侯爵はアップル・ゲート邸からほど近い場所のマナーハウスを借りていたが、現在はロンドンの邸宅に戻っていた。

すぐさま手紙はロンドンまで届き、侯爵はアンジェラからの申し出よりも重要なことなどあり得ないと、直ちにアンジェラのいるヘイ・ウッドまで馬車を走らせた。

つづく


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