はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 9 [花嫁の秘密]

「それで先生、お母様の具合は?」

「今は薬で眠っていらっしゃいますが、目覚められても無理をなさらないように気を付けてあげてください」

「何の病気ですか?」
アンジェラはベッドで眠る母を気遣い小声でドクター・ブラウンに訊ねる。

「いえいえ、病気というほどではありませんよ。少し疲労が溜まってらっしゃるようなので、ゆっくりと休まれるのが一番なのです。持病の腰痛とあとは膝の調子も良くないようですし。まあ、お年もありますからね。心配するほどではありませんよ」
ドクター・ブラウンは鼻からずり落ちた丸っこい眼鏡を上へあげながら、鞄を手にすると次の訪問先へ向かった。

アンジェラはその言葉に安堵したが、母が倒れベッドに伏すのはアンジェラを出産して以来だ。やはり心配で堪らなかった。

階下に降り、先に応接室でくつろぐセシルの元へ向かった。
セシルはアンジェラ程心配をしてなさそうで、難しそうな本を読んでいた。
アンジェラはセシルの傍に腰をおろすと、気分を落ち着かせるためハーブティーをメイドに頼んだ。
しかし、ゆっくりとお茶を飲んでいても母が気になってしょうがない。

「どうしよう、セシル……お母様にもしものことがあったら……」

「大丈夫だよハニー。だってあのお母様だよ、すぐに元気になるさ。ちょっと興奮しすぎたのさ、例の侯爵のせいで……でも、これでお母様も落ち着くよきっと」
不安に顔を曇らせるアンジェラをセシルが明るく励ます。

実はアンジェラはあの日の出来事を誰にも言っていなかった。もちろんマーサにも口止めをした。
侯爵に求婚されたことはもちろん、腕を取られ、追いかけられたことも。
怖かったし、恥ずかしかったけど、それよりも屋敷の外へ出てはいけないと言われるのではと思うと言えなかったのだ。


それから数日後、ソフィアが倒れたという噂を聞きつけた侯爵がお見舞いと称して再びこの屋敷を訪れることになる。

*****

クリスはまず玄関先で執事に取り次ぎを頼んだのだが、まだミセス・コートニーはお会いできるほど体調が良くないと門前払いを食らいそうになった。
ならば、見舞いの品をお渡ししたいのでと、アンジェラに取り次ぎを頼んだ。
だが、アンジェラも気分がすぐれず無理だと、世話係のマーサに断られてしまった。
しかし帰りかけたその時、救世主ともいうべきソフィアが階段の手すりを慎重に掴みおりてきた。

ソフィアは服装の失礼を詫び、クリスを邸内へ招き入れた。
ほんの十分ほどの滞在だったが、クリスにとってはとても有意義な滞在となった。
だが、アンジェラに会えず、先日の詫びも言えなかったことが心残りだった。
しかしソフィアの前で謝るためには、あの日あった出来事を話さなければならない。
そうなれば、求婚どころか社会的信頼も失ってしまう。
結局アンジェラに会えなくてよかったのかもしれないと思いながら、クリスはアップル・ゲート邸を後にした。

つづく


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