はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
Sの可愛い子犬 28 [Sの可愛い子犬]
とにかく疲れていた。そして苛ついていた。
ステフは泥だらけのブーツを脱ぎ捨てベッドに身を投げ出した。帰り道、行きと同じようにジョンと話すことはなかった。アルフレッドと何を話したのか言う必要があったが、口を開けば余計なことまで言ってしまいそうで怖かった。弱い自分は見せたくない。
「ジョン入るぞっ」
ステフがジョンの部屋へ入ると石鹸の清潔な香りがした。ジョンは濡れた髪のまま、まるで行き倒れのようにシャツ一枚の姿でベッドに突っ伏していた。疲れているのはジョンも同じ。けど、汗と汚れを落とすだけの気力はあったようだ。剥き出しの白い脚を揉んでやろうか、それとも両足を押し広げ中にこの身を埋めようか。
ステフが近づくとジョンはのそりと起き上がり、ゆったりと微笑んだ。ずっと待っていたと言わんばかりの温かい笑みにステフの胸は締め付けられた。
アルフレッドにすべてを託した今、何も心配はいらないはずなのに、なぜそわそわと落ち着かないのだろう。ジョンはこんなにも落ち着いているというのに。
いや、理由ははっきりしていた。
スタンレー伯爵の屋敷にいたあの少年と並ぶジョンの姿が目に焼き付いていたからだ。庭の美しさなど興味もないし理解もできないが、あの場にいた二人はまるで一枚の風景画のようだった。きっとジョンと俺が並んでもああは見えないだろう。
ステフはベッドに飛び乗ると横になった。「ジョン、俺のを舐めろ」
ジョンは一瞬驚いた顔をしたが、いつものように傍らに膝をついた。ズボンに手をかけ、ステフのものを取り出すとそっと口に含んだ。
動きの鈍さにステフは顔を顰めた。いつもならジョンはもっと喜んでしゃぶりついていたはず。それを言うならステフのものはズボンの前を開けた瞬間飛び出していたはずだ。けれども、今はくったりと萎れたままで、ジョンがぴちゃぴちゃと舐めてもなかなか大きくならなかった。
気もそぞろでやる気がないのはステフの方で、ジョンは一生懸命に気持ちよくしようとしている。
「ステフ様……あの」
ジョンのその声にステフは顔を向けたが、ズボンをグイッとあげるとベッドから降りた。
「もういい。お前、したくなさそうだし……」違う。ジョンは悪くない。二人の未来がどうなるかわからない時でさえ、こんなことしかできない自分が嫌になっただけだ。こんな俺にジョンが愛想を尽かしたとしても仕方がない。
とにかくさっさと汗と一緒に汚れを洗い流してこよう。すっきりすればこの嫌な感情も余計な考えも消え去るはずだ。そうしたら、ジョンとゆっくり話をしよう。
ステフはぐちゃぐちゃな思考をジョンに悟られまいと、顔をそむけたまま部屋を出て行こうとした。するとジョンが突然背後から飛びかかってきた。腰に腕をまわし縋りつく。
「ちょっ!」
「ごめんなさい、ちゃんと気持ちよくしますから。僕ちゃんと――」
そうじゃない!そうじゃないのに……ジョンが悪いわけじゃない。けど――
「嫌なんだろっ!舐めろって言ったら躊躇っただろ!どうせ、俺は貴族じゃないし……お前は貴族で、あいつの方が俺より一緒にいて似合ってた――」
しがみつくジョンを振りほどきたいのに、気づいたらしっかりとその腕を掴んでいた。離せるわけないってわかってる。
ステフの目から涙がこぼれ落ちる。ジョンの前では強くありたい。こんなみじめな姿を見せたくない。
「ステフ……さ、ま?」膝を折っていたジョンが恐る恐る立ち上がって、前を覗き込む。見上げて驚き、前に回ると少し背伸びをしてステフの目元に唇を寄せた。ぺろぺろと涙をぬぐい、そのまま唇にキスをした。
「お前しょっぱい……」ステフは笑って、そのままジョンを抱きしめた。
「ステフ様、好きです。僕はただのジョンで、将来はステフ様と共にあります。少し躊躇ったのは、その……キスしたかったからです。ずっとしたかったんです」
「お前、相変わらずかわいい事言うな。俺もお前の事好きだからな」
ジョンは一瞬きょとんとしていたが、次の瞬間には溢れるほどの笑顔になっていた。
「ステフ様、初めて僕の事好きって言ってくれました」
なんだって?何度もジョンのことを好きだと言っているのに、初めてってことはないだろ。俺はジョンが涙目で喘ぐ姿も、イクのを我慢して悶えてる姿も好きだと飽きるほど言ったと思うが……。
まあ、こいつがこんなに喜んでいるならいいか。ついでに泣かせてやるか。
***
それから一気にいろんな出来事が起こった。
ステフ達がロンドンに行く間もなく、アストンの悪事が暴かれ、逃げる様に国外へ出た。
アストン夫人はもともと自由な人でさっさと離婚し、今はカリブ海の島でのんびりと過ごしているらしい。
ステフは今ジョンといる。
ステフの母親の弟に引き取られた形になっている。
アストンは自分が父親ではないと知っていた。婚約者から奪う形で結婚した妻を心底愛していたのだ。だからステフを愛するのは当然で、将来の為に大事な息子を手放す決断もした。そんなアストンをステフは変わらず父親だと思う事にした。
アストンが売り払ったホワイトヒルの屋敷とその周辺の土地は、スタンレー伯爵が買い取っていた。将来的にはジョンの兄、現コッパー子爵が受け継ぐことになるだろう。
スタンレー伯爵はジョンの兄にも援助し、ジョンとステフは今ホワイトヒルの屋敷で暮らしている。
以前いた使用人はすべて解雇され、スタンレー伯爵家の有能な執事によって新しい使用人が揃えられた。
二人の将来は、アルフレッドに一任されている。
アルフレッドは法律家にならないかと勧めてくれたが、返事は先送りにした。
今はスタンレー家の屋敷を管理しながら、しっかりとした教育を受けている。
つづく
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ステフは泥だらけのブーツを脱ぎ捨てベッドに身を投げ出した。帰り道、行きと同じようにジョンと話すことはなかった。アルフレッドと何を話したのか言う必要があったが、口を開けば余計なことまで言ってしまいそうで怖かった。弱い自分は見せたくない。
「ジョン入るぞっ」
ステフがジョンの部屋へ入ると石鹸の清潔な香りがした。ジョンは濡れた髪のまま、まるで行き倒れのようにシャツ一枚の姿でベッドに突っ伏していた。疲れているのはジョンも同じ。けど、汗と汚れを落とすだけの気力はあったようだ。剥き出しの白い脚を揉んでやろうか、それとも両足を押し広げ中にこの身を埋めようか。
ステフが近づくとジョンはのそりと起き上がり、ゆったりと微笑んだ。ずっと待っていたと言わんばかりの温かい笑みにステフの胸は締め付けられた。
アルフレッドにすべてを託した今、何も心配はいらないはずなのに、なぜそわそわと落ち着かないのだろう。ジョンはこんなにも落ち着いているというのに。
いや、理由ははっきりしていた。
スタンレー伯爵の屋敷にいたあの少年と並ぶジョンの姿が目に焼き付いていたからだ。庭の美しさなど興味もないし理解もできないが、あの場にいた二人はまるで一枚の風景画のようだった。きっとジョンと俺が並んでもああは見えないだろう。
ステフはベッドに飛び乗ると横になった。「ジョン、俺のを舐めろ」
ジョンは一瞬驚いた顔をしたが、いつものように傍らに膝をついた。ズボンに手をかけ、ステフのものを取り出すとそっと口に含んだ。
動きの鈍さにステフは顔を顰めた。いつもならジョンはもっと喜んでしゃぶりついていたはず。それを言うならステフのものはズボンの前を開けた瞬間飛び出していたはずだ。けれども、今はくったりと萎れたままで、ジョンがぴちゃぴちゃと舐めてもなかなか大きくならなかった。
気もそぞろでやる気がないのはステフの方で、ジョンは一生懸命に気持ちよくしようとしている。
「ステフ様……あの」
ジョンのその声にステフは顔を向けたが、ズボンをグイッとあげるとベッドから降りた。
「もういい。お前、したくなさそうだし……」違う。ジョンは悪くない。二人の未来がどうなるかわからない時でさえ、こんなことしかできない自分が嫌になっただけだ。こんな俺にジョンが愛想を尽かしたとしても仕方がない。
とにかくさっさと汗と一緒に汚れを洗い流してこよう。すっきりすればこの嫌な感情も余計な考えも消え去るはずだ。そうしたら、ジョンとゆっくり話をしよう。
ステフはぐちゃぐちゃな思考をジョンに悟られまいと、顔をそむけたまま部屋を出て行こうとした。するとジョンが突然背後から飛びかかってきた。腰に腕をまわし縋りつく。
「ちょっ!」
「ごめんなさい、ちゃんと気持ちよくしますから。僕ちゃんと――」
そうじゃない!そうじゃないのに……ジョンが悪いわけじゃない。けど――
「嫌なんだろっ!舐めろって言ったら躊躇っただろ!どうせ、俺は貴族じゃないし……お前は貴族で、あいつの方が俺より一緒にいて似合ってた――」
しがみつくジョンを振りほどきたいのに、気づいたらしっかりとその腕を掴んでいた。離せるわけないってわかってる。
ステフの目から涙がこぼれ落ちる。ジョンの前では強くありたい。こんなみじめな姿を見せたくない。
「ステフ……さ、ま?」膝を折っていたジョンが恐る恐る立ち上がって、前を覗き込む。見上げて驚き、前に回ると少し背伸びをしてステフの目元に唇を寄せた。ぺろぺろと涙をぬぐい、そのまま唇にキスをした。
「お前しょっぱい……」ステフは笑って、そのままジョンを抱きしめた。
「ステフ様、好きです。僕はただのジョンで、将来はステフ様と共にあります。少し躊躇ったのは、その……キスしたかったからです。ずっとしたかったんです」
「お前、相変わらずかわいい事言うな。俺もお前の事好きだからな」
ジョンは一瞬きょとんとしていたが、次の瞬間には溢れるほどの笑顔になっていた。
「ステフ様、初めて僕の事好きって言ってくれました」
なんだって?何度もジョンのことを好きだと言っているのに、初めてってことはないだろ。俺はジョンが涙目で喘ぐ姿も、イクのを我慢して悶えてる姿も好きだと飽きるほど言ったと思うが……。
まあ、こいつがこんなに喜んでいるならいいか。ついでに泣かせてやるか。
***
それから一気にいろんな出来事が起こった。
ステフ達がロンドンに行く間もなく、アストンの悪事が暴かれ、逃げる様に国外へ出た。
アストン夫人はもともと自由な人でさっさと離婚し、今はカリブ海の島でのんびりと過ごしているらしい。
ステフは今ジョンといる。
ステフの母親の弟に引き取られた形になっている。
アストンは自分が父親ではないと知っていた。婚約者から奪う形で結婚した妻を心底愛していたのだ。だからステフを愛するのは当然で、将来の為に大事な息子を手放す決断もした。そんなアストンをステフは変わらず父親だと思う事にした。
アストンが売り払ったホワイトヒルの屋敷とその周辺の土地は、スタンレー伯爵が買い取っていた。将来的にはジョンの兄、現コッパー子爵が受け継ぐことになるだろう。
スタンレー伯爵はジョンの兄にも援助し、ジョンとステフは今ホワイトヒルの屋敷で暮らしている。
以前いた使用人はすべて解雇され、スタンレー伯爵家の有能な執事によって新しい使用人が揃えられた。
二人の将来は、アルフレッドに一任されている。
アルフレッドは法律家にならないかと勧めてくれたが、返事は先送りにした。
今はスタンレー家の屋敷を管理しながら、しっかりとした教育を受けている。
つづく
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2022-09-01 10:25
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