はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

不器用な恋の進め方 6 [不器用な恋の進め方]

「あの、メリッサ、子爵様を許してあげてください」
アンジェラは心配そうな顔でおずおずと言った。

それは誰に対するどんな心配なのだろうか?
子爵に対するものなのか、わたしに対するものなのか……。
どちらにも取れるような表情だ。

「別に気にしてないわ。よくあることですもの」
アンジェラの心配を拭うように、出来るだけ平静を装い言った。

「よくあることって……その、キスのことですか?」

「いいえ、そちらではないわ」

「子爵様はあんなこと言うつもりではなかったんだと思います。だって……」
アンジェラはそのまま黙ってしまった。

「慰めてくださるの?でも大丈夫よ。本当に、あんなふうに言われるのは慣れているの――」

メリッサは喉に異物を押し込まれたように、言葉に詰まった。その声は涙に滲んでいた。

そんなメリッサを見て、アンジェラは泣き出しそうになっている。唇を引き締め泣かないように努めている。
そして少し躊躇った後、意を決したように口を開いた。

「子爵様は、メリッサの事が好きなんです。だからキスだってしたんです」

メリッサは目を丸くした。
ほんの少しだがパニックにもなっている。

胸に手を当て、とにかく落ち着くため、息を吸いこみ、ゆっくりと吐き出した。

「子爵様がわたくしを好きだとおっしゃいましたか?どうしてそう思われたのですか?キスをしたからと言って、好きとは限らないのですよ」

「えっ、あの、だって……」そう言ってアンジェラは俯き、悩み、顔を上げた。「クリスから聞いたんです。子爵様がメリッサを好きになって、それでリックとの関係を聞かれて、それはあたしも知らないから答えられなかったのですけど。――あの、でも、メリッサが男性だと言う事はクリスにも子爵様にも誰にも教えていません。だから本当に困ってしまって……」

メリッサは思わず吹き出してしまった。
今は笑う場面ではないのだが、秘密を愛する夫にも明かさずかたくなに守ってくれたことに、感謝と愛おしさを感じずにはいられなかった。そうしたら自然と笑いが口から飛び出してしまっていたのだ。

戸惑うアンジェラに抱きつき、「本当にかわいらしくて素敵な方ね」と、そっとはちみつ色の髪に口づけた。

つづく


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