はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 321 [花嫁の秘密]

クッションのよく効いた三人掛けのソファは長身の男二人が寝そべるにはやや手狭だ。まあ、密着していれば別だけど。

押し潰さないように気遣うエリックの優しさは、母親譲りだろうかそれとも父親譲りだろうか。コートニーの人間は皆優しい。うちとは大違いだ。

「クィンにクラブを売れと、もう言ったのか?キスをする前に答えてくれたらありがたい」エリックの形のいい唇が目の前でぴたりと止まった。最近はキスする権利が当然あるかのように振る舞っているが、僕は一度だって勝手にしていいと言ったことはない。

「いや、内情を聞き出そうとしただけだ」

「何か教えてくれたのか」唇が重なってきたが、かまわず訊き返した。

「いきなり教えると思うか?あの男が」ひと通り味わって、エリックは返事をした。続きをしたければ答えるしかないからだ。

「どうだろう?彼はそう堅苦しい男でもないよ。少し世間話でもすれば、結構喋ってくれると思うけど」クィンが気さくにエリックと喋っている姿を想像してみたが、あまりありそうにも思えなかった。それこそビジネスに徹するなら、いい話し合いが出来そうではあるが。

「それはお前だからだろう?俺と気軽に話したいやつがそういるとは思えないが」

僕もいま同じことを考えていたと言う前に、会話は中断を余儀なくされた。待ちきれなくなったエリックがキスで言葉を封じ、二人の間を隔てるウールケットを乱暴に剥ぎ取った。

サミーはエリックの背中に手を回し抱き寄せると、キスを返した。チョコレートとワインで気分がよかったからか、エリックの飢えた顔つきに妙に心擽られたからか、日を追うごとに感情が変化していっている。

エリックの長い髪が頬を撫でた。サミーは目を開けて、エリックの頬に触れて髪を掻きあげた。

「切らないのか?」出会った時からずっとこの髪型だが、何かこだわりがあるのだろうか。例えば、以前付き合っていたやつの好みとか。

「何かと思えば、切って欲しいか?」エリックは髪を後ろに流しながら尋ねた。「てっきりお前は長い方が好きなんだと思っていたが」

僕がいつ……。艶やかなはちみつ色の髪は確かに魅力があるかもしれないが、まさか――「僕が君にアンジェラを重ねていると?」

「違うのか?」意外だといった声音。

まったく!なんて男だ。「髪と目の色以外何も似ていないのに、君を見てアンジェラを想うと思うか?」

エリックは真剣な眼差しを向けてきた。「さあね。お前の考えていることはよくわからない」指先にサミーの髪を絡めそっとそこにキスをする。何気ない仕草にサミーは顔が赤らむのを感じた。

「てっきり僕の考えはすべてお見通しなんだと思ってた」精一杯刺々しく言ってみるが、言葉は尻すぼみになった。

「くだらない計画はすぐにわかる」エリックがにやりとする。

くだらないね。つまり、僕がブラックを使って行動しようとしていることには気づいているわけだ。別に進んで喋る気もないが隠す気もないから、知られたってかまわないけど。

「それで、続きはするのか?」結局何もかも見透かされて腹は立つが、いつものことだし気にしても仕方がない。

「どっちの続きだ?クィンの話か、それとも――」

サミーはエリックの口をふさいだ。ひとまずクィンの話は明日でも遅くはない。

つづく


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