はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 316 [花嫁の秘密]

「いや、俺の依頼だ」しかもほとんど個人的な。とにかくフェルリッジは最寄りの駅から遠すぎる。専用駅ならもしもの時――サミーやアンジェラに何かあった時――内密な移動が可能になる。

ステフにこんな頼みごとをするのも、父親から譲り受けた鉄道会社を当てにしてのものだ。父親のアストンは以前問題を起こしこの国を追われているが、先見の明はあった。持っていた鉄道会社は順調に成長し、莫大な利益を生んでいる。ステフは経営に口出しをしてはいないが、決定権は持っている。

「ハニーさんのためですか?」ジョンが訊いた。途端に興味を引かれたのか、ステフが前のめりになる。

この二人、ハニーの事はクリスを通じてよく知っているらしい。
クリスがここの顧客なのも不思議な話だが、先日ハニーの誘拐事件の再調査を依頼してきて、対応に困ったステフが連絡してきた。もちろん引き受けるわけにはいかないと断らせたが、クリスがそれで諦めるとは思えない。直接手を下した犯人は死んだが、黒幕がいるところまでは突き止めている。そのうち真相に辿り着くかもしれないと思うと、早いところ幕引きをしないと結婚生活さえ危うくなりかねない。

それでなくとも、サミーの余計な行動で当初考えていたよりも大幅に計画変更を余儀なくされたというのに、これ以上の面倒は避けたい。

「大雑把に言えばそうだな。だがあそこに線路を敷くことで利点もある。いま全部喋ってもいいが、生憎時間がない。それに、まだ土地の持ち主に許可を取っていない」

「なんだか胡散臭い話だな。話を持ち込んだのがあなたでなければ、詐欺だと思うところですよ」ステフはきれいに片付けられた机を、指先でトントンと打ち鳴らした。

「詐欺ではないが、確実な儲け話とは言い難いからな。お前の言い分もわかる」まずはクリスを説得して、そこから線路が通る予定地の村人への対応もある。耕作地が減る領民は反発するだろう。クリスがうまく代替え案を提供すれば、彼らにとっても悪い話ではないはずだ。

「話がまとまれば俺の一存で決めることもできますが、こっちである程度調査して返事をしてもいいですか?寒い時期にあまり動きたくはないですけどね」

まったく。これだから金のあるやつは。ステフがこの仕事をしているのも、単純にジョンの為だろう。俺と同じで、愛する男に居場所を与えたいから。

「ああ、急がないから好きに調べろ。こっちでも報告書類を作成しておく。クラブの方は、考えるなら今度連れて行ってやる」

つづく


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