はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 233 [花嫁の秘密]

「支度は済んだのか?」

上掛けに潜り込んでいたサミーは、朝から聞きたくもない声を耳にして思わず眉間にしわを寄せた。ゆっくりと這い出るようにして顔を出すと、すぐそばにエリックの顔があった。ダークスーツに暗褐色のシルクのネクタイを締めベッドの端に腰かけている。

「君はここで何を?僕の眠りを妨げる権利はないはずだけど」

「俺はどんな権利も持ち合わせている。ぐだぐだ言ってないでさっさと起きろ。ハニーはもう起きて母様を見送ったところだ」

「まだ暗いのに、ソフィアはもう行ってしまったのか?アンジェラは少しは話をできたのかな」サミーは肘をついて少し上体を起こすと、カーテンがひかれたままの薄暗い部屋を見まわした。もしかしてカーテンを開ければ日はもう高く昇っているのだろうか?

「通常通り親子として別れを惜しんでいたから、大丈夫だろう」

「そう、よかった。それで?支度って?」もしかして、昨日言っていたロンドンへ行くという話をしているのだろうか?具体的にいつ行くとは言っていなかったけど、まさか今からなのか?

ああ、だからこいつは朝からこんな格好をしているのか。サミーは寝起きの頭で、これから自分がすべき様々なことを秤にかけた。

「まさかしていないとは言わないよな?まあ、俺としてはお前の身体ひとつあれば十分なんだが」

サミーはエリックの言外に含む意味に気づかないふりをして答える。「着替えは向こうにあるし、ステッキさえ忘れなければ問題はないだろう」

「愛用の銃も持っていったらどうだ?」

アンジェラの事件があってからは携帯するようにしているが、あからさまに皮肉るあたりエリックはどうやら気に入らないらしい。

「言われなくても持っていく。どうでもいいけど、出て行ってくれないか?」サミーは溜息を吐いた。

「別に何度も見ているから気にすることはない」エリックがニヤリとする。

「僕が気にする。出ていけ」

「お前は、本当にかわいくないな」ふいにエリックが圧し掛かってきた。上掛けの中に手を滑り込ませ、無防備な肌に触れる。

「馬鹿!冷たいだろ!」サミーはエリックの無遠慮な手から逃れるように身体を丸めた。

「すぐに温まる」

エリックの唇が首筋に押し付けられる。もしかして彼は今ここでする気なのだろうか?いつ従僕がカーテンを開けるために部屋へ入ってきておかしくないというのに。いや、僕の部屋のカーテンを開けに来るものはいない。そうしないように命じているからだ。

ということは誰にも邪魔されず、エリックは欲を満たせるわけだ。酒も入っていない状態でこういうことをしてきたことがあっただろうか?まったくのしらふでエリックの愛撫を受けるのは初めてだ。支度をしろと言ったのに、なぜこいつは僕のベッドに入ってくる?

「やめろ……」抵抗は弱弱しく、サミーは戸惑った。いくら寝起きとはいえ、こうも身体に力が入らないものだろか?

「いつもこのくらいおとなしければ楽なんだがな」エリックはそう言ってベッドから出ると、名残惜しげに身体を傾げて唇にキスを落とした。「一時間で支度をしろ」言い残し、部屋から出て行った。

一時間?

くそっ!勝手な奴め!誰が唇に触れていいと言った!

つづく


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