はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花村と海 1 [花村と海]
花村拓海は迫田海の恋人だ。
付き合って一年と半年経つ。
それなのにまだ海の心を掴み切れていないのは、海に問題があるからだ。
寂しがり屋でかまってちゃんの海は、花村ごときでは満足できない。たとえ花村が束になっても無理だろう。
とはいえ、海は海なりに花村を大事にしている。もちろん、花村が海を大事にしているほどではないが。そもそも、花村の過剰なまでの愛情に応えるのは、相手がコウタのような一途な人物であっても難しいだろう。
そんな花村に限界が訪れる。
発端は、海が四条美影の兄、美高と廻るお寿司を食べに行ったこと。
いわゆる寿司デートだ。
花村はカンカンになって海に詰め寄った。相手に下心があるとなればなおの事。
出来れば美高に会って、首を締め上げてやりたいと思ったのだが、そもそも美高が花村の呼び出しに応じるはずがない。美影はぜひ締め上げるべきだと兄を差しだそうとしたのだが、そこに海が割って入った。
つまりは、美高をかばったのだ。
花村は母親のことで父親とやり合ったばかりだった。だからというわけではないが、非常に、むしゃくしゃしていた。海だけが慰めなのに、その海に裏切られて、花村はキレてしまった。
キレたと言っても、凧の糸が切れるようなもので、凧はどこかへ行き、糸は力なく地面に落ちるだけ。糸くず同然の花村は、自分から海に近付くことが出来なくなった。
そしてとうとう、海に出会う前の花村に戻ってしまった。
「朋さんのところに行くけど、君も行くかい?」
放課後、最近の花村を心配する美影が教室に現れた。図書室以外で目にすることのない先輩を目にして、クラスじゅうがざわつく。
「いいです、帰ります」花村は虚ろな表情で鞄を手にする。惨めなのは、海がすでに取り巻き数人と教室を出ているということ。誰も海と花村の関係がどうなっているのかなど、気にしない。
「あ、そう。せっかく君が欲しがっていた北野の情報、仕入れたんだけど」そっちがそうならと、美影は素っ気なく踵を返す。
「え!本当ですか?」
抜け殻の花村だが、情報にだけは食いつく。これがなくなってしまっては、もはや花村がここにいる意味はない。
「先に行っているから」美影はそれだけ言い残し、さっさと教室を出る。花村がついてくることはわかっている。情報は無視できないし、そろそろ兄弟たちに会いたくてたまらないはずだから。
花村は海と喧嘩してからカフェにも顔を出していない。あれだけ毎日のように通っていたにも関わらず。
こうなると、おせっかいな兄弟が何もせずにいるはずがない。どうにか引きずってでも、というのが兄弟たちの望みだったが、頼まれた美影がそんな無茶をするはずない。
貴重ではあるが、手に入れるのにそう苦労もしなかった情報で、まんまと花村を釣り上げたというわけだ。
つづく
>>次へ
あとがき
こんばんは、やぴです。
浮気性な海と花村がとうとう喧嘩してしまいました。
別れてみるのも手だけど、花村が可哀そ過ぎるかな?
短めでいきます。よろしくお願いします。
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付き合って一年と半年経つ。
それなのにまだ海の心を掴み切れていないのは、海に問題があるからだ。
寂しがり屋でかまってちゃんの海は、花村ごときでは満足できない。たとえ花村が束になっても無理だろう。
とはいえ、海は海なりに花村を大事にしている。もちろん、花村が海を大事にしているほどではないが。そもそも、花村の過剰なまでの愛情に応えるのは、相手がコウタのような一途な人物であっても難しいだろう。
そんな花村に限界が訪れる。
発端は、海が四条美影の兄、美高と廻るお寿司を食べに行ったこと。
いわゆる寿司デートだ。
花村はカンカンになって海に詰め寄った。相手に下心があるとなればなおの事。
出来れば美高に会って、首を締め上げてやりたいと思ったのだが、そもそも美高が花村の呼び出しに応じるはずがない。美影はぜひ締め上げるべきだと兄を差しだそうとしたのだが、そこに海が割って入った。
つまりは、美高をかばったのだ。
花村は母親のことで父親とやり合ったばかりだった。だからというわけではないが、非常に、むしゃくしゃしていた。海だけが慰めなのに、その海に裏切られて、花村はキレてしまった。
キレたと言っても、凧の糸が切れるようなもので、凧はどこかへ行き、糸は力なく地面に落ちるだけ。糸くず同然の花村は、自分から海に近付くことが出来なくなった。
そしてとうとう、海に出会う前の花村に戻ってしまった。
「朋さんのところに行くけど、君も行くかい?」
放課後、最近の花村を心配する美影が教室に現れた。図書室以外で目にすることのない先輩を目にして、クラスじゅうがざわつく。
「いいです、帰ります」花村は虚ろな表情で鞄を手にする。惨めなのは、海がすでに取り巻き数人と教室を出ているということ。誰も海と花村の関係がどうなっているのかなど、気にしない。
「あ、そう。せっかく君が欲しがっていた北野の情報、仕入れたんだけど」そっちがそうならと、美影は素っ気なく踵を返す。
「え!本当ですか?」
抜け殻の花村だが、情報にだけは食いつく。これがなくなってしまっては、もはや花村がここにいる意味はない。
「先に行っているから」美影はそれだけ言い残し、さっさと教室を出る。花村がついてくることはわかっている。情報は無視できないし、そろそろ兄弟たちに会いたくてたまらないはずだから。
花村は海と喧嘩してからカフェにも顔を出していない。あれだけ毎日のように通っていたにも関わらず。
こうなると、おせっかいな兄弟が何もせずにいるはずがない。どうにか引きずってでも、というのが兄弟たちの望みだったが、頼まれた美影がそんな無茶をするはずない。
貴重ではあるが、手に入れるのにそう苦労もしなかった情報で、まんまと花村を釣り上げたというわけだ。
つづく
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あとがき
こんばんは、やぴです。
浮気性な海と花村がとうとう喧嘩してしまいました。
別れてみるのも手だけど、花村が可哀そ過ぎるかな?
短めでいきます。よろしくお願いします。
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2016-10-20 00:23
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