はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナおうちに帰る 10 [ヒナおうちに帰る]

ウェインは、ダンとヒナのおやつのおこぼれをつついていた。疲れを癒す熱々の紅茶を啜り、レモンタルトを口いっぱいに押し込み、また紅茶を啜る。ウェインを敬愛するカイルには到底見せられない姿だ。

ダンはウェインのがっつきには目をつむった。車内でのんびりと過ごしたダンと違って、ウェインは四六時中ホコリと風と太陽光にさらされていた。だから多少見苦しい状態にあるからといって、あれこれ意見するなど以ての外。

「カイルが到着したみたいですね」ダンはさりげなく切り出した。ホームズがカイルの到着で上と下とを行き来しているのに、ウェインがまったく関心を示さないので、二人を応援したいダンとしては黙って見ていられなかった。

「みたいだね。部屋、どこになったんだろう?近くだといいけど、棟が違うから無理だよな」ウェインはまるで無頓着に言い、アーモンドクッキーをぼりぼりとやる。

「ヒナの部屋の近くでしょうね」ダンはあえて素っ気なく答えた。

ウェインは心配そうに眉根を寄せた。「でもそうしたらさ、旦那様と一緒の部屋を使ってるってばれちゃうんじゃない?」

心配なのはいったいどっちなんだか。

「寝室が一緒なだけで、部屋は別ですから大丈夫ですよ」ダンはのんびりとカップを口に運んだ。中身はシモン秘蔵のコーヒーだ。ちょっと苦いけど、なかなか美味しい。

「そうかなぁ……カイルがきわどい場面に出くわさないことを祈るよ」ウェインは手にしていたクッキーを器に戻した。いよいよ本格的に心配になったようだ。

「だったら、ウェインがカイルの面倒を見てあげたら?ほら、不慣れな場所で心細くしているだろうし、ヒナだってずっとカイルと一緒にはいられないわけでしょ?そもそも旦那様が離さないだろうし。だから、スペンサーとブルーノがこっちに出てくるまで、カイルが一番心を許しているウェインが世話を焼いてあげるべきだよ」

「うん、まあ、そのつもりだけど……カイルは僕が面倒見なくても、うまくやると思うな。でも、まあ、カイルは僕を慕ってくれてるから、やっぱり面倒は見てあげよう」ウェインはまんざらでもない様子で、カイルの世話を買って出た。

「それがいいと思う」ダンは自分の思う方向に事が運んだことに満足し、ようやく気を落ち着け、ウェインに食い散らかされたレモンタルトの欠片に手を伸ばした。

つづく


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