はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナ田舎へ行く 224 [ヒナ田舎へ行く]

『ブルゥの味方』と宣言していたヒナが、いつからか中立の立場に立ってくれたおかげで、ブルーノの愚行が逐一耳に入るようになった。

もちろんヒナに告げ口する意図はない。ただ両者を煽って楽しんでいるだけだ。だから一層性質が悪い。

「そうではなくて、こけたときに手を差し伸べてくれただけです」ダンがもっともらしい言い訳を口にした。ヒナの言っていたこととずいぶん違う。

「それだけか?」問い詰めてどうなるってもんでもない。だが、このまま有耶無耶にしておけば、必ずこちらの不利になる。情やその場の勢いに流され、ダンがブルーノになびかないとも限らない。

いい加減、ダンを巡って兄弟で争うのは終いにしたい。水面下での微妙なやり取りが表面化すれば、事はややこしくなるばかりだ。親父がここにいるとなればなおさら。だからこそ親父が不在のうちに、どちらかが権利を獲得しておく必要がある。もちろん負けた方は身を引く。が、ブルーノがそれに納得するかどうか。なぜならば、権利を獲得するのは俺だからだ。

お互い、トビーの時のようにダンを共有する気はない。と言っても、トビーにはこちらが手玉に取られていただけなのだが。

「いいえ……」ダンは渋々認めた。「なぜかヒナも加わって裏口までそのまま……」

そのまま手を握られていたというわけか。

「嫌なら嫌と言うべきだ」無駄だとわかっていても、口にせずにはいられなかった。ダンの性分としてそんなこと言えるはずがない。

「別に、手くらい……ヒナも楽しそうでしたし」

やっぱり!否定的な意見を望んでいた訳ではないけれど、こうもあっさり手を握られるくらいなんでもないと言われると、腹立たしさが一気に込み上げてきた。

「ヒナがよければそれでいいのか?」無論そうだろう。分かっていても問いたださずにはいられなかった。

「別にそういうわけじゃありませんけど」ダンは不貞腐れたように言い、まるでキスを拒むように、ぷいっとそっぽを向いた。

くそ生意気な!

スペンサーはダンの逃げ道を塞ぐように、右手をヘッドボードに叩きつけた。ダンが左側に顔を背ける。

「ブルーノの事が好きなのか?」この問いに答えは必要なかった。ダンがブルーノを選ぶつもりなら、いまここでその口を塞いでやる。

そう。ほんの数分前にしようとしていたことを実行するだけだ。

騒ごうが暴れようが、やめるつもりはない。

つづく


前へ<< >>次へ
 

よろしければこちらをぽちっとお願いします。
  ↓
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


web拍手 by FC2


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。